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住まいのブランディングがはじまった

 最近、分譲マンションなどの商品化住宅の企画会議で、「ブランディング=ブランド化」という言葉をよく聞くようになった。「衣」、「食」に続いて「住」もようやくブランディングの時代に突入したということなのだろうか。住まいのブランディングについて考えてみたい。

 ブランドといえば、元祖は「衣」のファッション業界。最近は、さらにエスカレートし、海外の高級ブランド・ショップが青山、表参道、銀座に軒を並べてしのぎをけずっている。有名建築家によってデザインされたユニークなショップには、高額商品がきらびやかにディスプレーされていて、ブランドに関心のない者はその値段に驚くばかりだ。

 不景気だ、デフレだといいながらも、実際に日本は、高級ブランド品のすばらしいマーケットであることに間違いはない。ごく普通の若いOL、女子大生や女子高校生までもが、高級ブランド品をさりげなく身に着けて満員電車で通勤通学している。そんな国は、世界中でもおそらく日本だけだろう。

 「食」のグルメブームもしかり。何カ月先まで予約でいっぱいの高級レストランが最近増えていると聞く。そうしたレストランは、味もホスピタリティもしっかりしているのは当然として、料理業界に新しいブランドを確立、つまりブランディングに成功したということだろう。

 人気パティシエがいるお菓子屋さん、人気のラーメン屋さんも同じだ。長蛇の列ができている店は、ある種のブランディングに成功している。多少の値段の高い安いは関係なく、長時間並んでまで食べたいと思わせる魅力をどうして創り得たのだろう。ただおいしいだけではないはずだ。

 自分のお気に入りにはお金も労力も惜しまない。でも、普段は身近なコンビニや100円ショップで済ませてしまう。それが最近の消費特性だといわれている。高級ブランド・ショップや長蛇の列ができる店が成立する基盤は、どうもそこにありそうだ。

 モノそのものではなく、ブランドというイメージを消費することを楽しむ。いま私たちはモノを買っているのではなく、モノに搭載された「夢」や「イメージ」を買っているとはいえまいか。さらに言えば、モノに搭載された「夢」や「イメージ」を消費することによって、自らのアイデンティティーを確認しているのではないだろうか。ブランドは、それを保障する記号なのだ。ブランド(brand)には、その昔罪人に押した「焼き印」という意味もある。

 さて、こんな時代にあって、住まいについてのブランディングはどうあるべきだろう。「衣」、「食」との商品特性の違いは、「住」はあくまでも不動産であることだ。建築としての商品化住宅は、メルセデス・ベンツが何台も買えるほどの高額商品であり、街並み形成、街づくりに直結する社会的資産でもある。だからこそ、購入動機、購入意思決定を促すうえでのブランディングは、これからますます不可欠になっていくに違いない。

 そのとき重要なことは、商品化住宅の何をブランディングするかだ。立地・環境、設計者である建築家、建設会社、事業主であるディベロッパーなどなど、いろいろ考えられる。たとえば建築家をブランディングしたのが、いわゆる「デザイナーズ・マンション」だろう。また、同じ商品化住宅でも、分譲か賃貸によっても違ってくるはずだ。その具体的な詳細についてはいずれ論じてみたい。

 すてきな住まいや街をつくるのは、やはり住まい始めてからの住まい手だ。つくり手が、住まい手であるユーザーに気持ちよい住まい方や暮らし方を商品コンセプトとして提案、つまり新しいライフスタイルを住空間とともに提案したいとき、その商品イメージを共有するのにブランディングはとても有効だ。住まいのブランディングは、心豊かな暮らしを保障する焼き印づくりといってもいいかもしれない。

2005年01月28日 asahi.com

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